「ロスモンド・トムソン症候群」という病気は世界レベルでみてもめずらしいと言われている「皮膚と骨、目の病気」です。
皮膚は写真の通りに顔や手足が赤くなり、ところどころ黒くなっています。
目は生後半年で白内障の手術を受けました。今は厚いレンズのメガネをかけています。
また骨も弱く転んでしまったり、強く打撲するとすぐに骨折してしまいます。
そして免疫疾患があるので、人ごみに気をつけなければなりません。
免疫力が弱いため、あらゆる感染から身を守らなければならないのです。

生まれてすぐは、彼に病気があることは全くわかりませんでした。生後1週間、
顔が湿疹でだんだん赤くなり始め、病院に連れて行ったのです。
お医者さんは「子供を何万人と診ているけれど、こんな湿疹は初めてだ。」とおっしゃいました。
原因はわかりませんでした。半年後、白内障であることがわかってから、
「ロスモンド・トムソン症候群」と診断を受けたのです。
小さな頃は、自分の足で歩くこともできました。オモチャで楽しそうに遊んだり
スプーンやフォークを持って食事をすることもできました。
成長するにつれ、手足の関節がだんだん硬くなり始めると、腕、ひじ、ひざが
曲がっていきました。今では自分の足で立つこと、歩くことができなくなってしまいました。
けれど、ウォーカーという歩行器に乗る(座る)ことで、足を動かしたり、歩くことができます。
また、電動車いすを上手に操作して乗ることもできます。
硬くなってしまった手ですが、フォークとスプーンの持ち手をケインの手に合うようにつくり、
それを使って自分で食べることもできます。
パソコンを使ったり、両手首でペンをしっかりはさんで、器用に字を書いたり絵を描くこともできます。
ケインは汗をかくことができません。体温調節が難しいため、夏は体温がこもって
高く上がってしまいます。
皮膚ガンや、骨のガンになる可能性が高いので、紫外線には十分に気をつけなければいけません。
ですから、外出するときは、いつも日焼け止めクリームは欠かせません。
紫外線を極力カットできる「消防士さん」のような帽子をかぶり、長袖を着たり、ケープをかぶってのおでかけになります。
また腎臓にも異常があって、トイレの回数もとても多く、また水分もこまめにとらなくてはなりません。
ケインの「ロスモンド・トムソン症候群」はこんな病気です。

ケインは1歳の時に「2歳まで生きられないかもしれない」と言われました。
それを乗り越え、今でも病気に負けずがんばっています。
そして今、8歳になったケインは、生まれつきの病気を「かわいそう」と言われるより
「がんばってるね!」と言われたいのです。

私には3人の息子がいます。ケインは三男です。
その上の兄ふたりは健康で、身内に障害のある人はいなかったので、
初めてケインが「生まれつきの病気」とわかったときには、正直驚きを隠しきれませんでした。
ケインが小学校に入学するときに、こう言いました。
「ケイン、生まれつきの病気は嫌だった・・・。」と。
そう打ち明けられた私は、なんと答えていいのかとても悩みました。
けれど、ケインと一緒にいると、今まで「あたりまえ」だと思っていたことが、
決して「あたりまえではなかったこと」を周囲にいる私達がケインによって
気づかされ、また、その一生懸命に生きながら、何ごとに挑戦している姿に
「勇気」をもらうなど、得ることの方が多かったのです。

もしケインの頑張っている姿をみなさんに伝えることができたら、
みんなの応援がケインの「生きる勇気」に変わるのではないかと考えました。

デパートなどでケインを初めて見る人は、びっくりしたような顔をされたり、
内緒話をされたり、何度も振り返る人がいたり・・・とそれぞれ反応はさまざまです。
初めて会った方などは特にコミュニケーションをとるまでには至りません。
でも、本当は興味を持ってくださった方に、ケインの生まれつきの病気のことを
説明したいという思いがあります。
ケインも私達も本当は「一人でも多くの人に、わかってもらいたい」
「知ってもらいたい」のです。
よくケインの学校の友達のママたちと仲良くなって、病気のことを説明すると、
「聞いたら悪いのかと思って聞けなかったんだ」と言われます。
そして、実際に私も障害のある方や違う病気の方に出会う時、聞いてもいいのかなと悩むときがあります。
たとえ、初めてその症状や障害にふれたとき、声をかけるのをためらったとしても
コミュニケーションができれば、次に会ったときには少なくともびっくりすることはないし、
その病気の症状を聞いたり、理解すればどう接していったらいいのかがわかります。

世の中にはたくさんの病気や障害があります。

私は障害のある人にもっと話しかけてもらいたいし、理解してもらいたいと思っています。

ケインには2人のお兄ちゃんがいます。
ケインと一緒に育ってきたからか、自然と助けの必要な人や、障害のある人などに
も思いやりを持って接する子に育ってくれています。

「ケインが生まれてきてくれたから」
私達はこんな気持ちを持つことができたのだとつくづく思うのです。
生まれつきの病気を持つケインのママとして、
ケインのような障害者と健常者が、自然に思いやりあいながら
手を取り合って暮らせる世の中になって欲しい。
ケインの「がんばり」が他のみんなの「勇気」に変わればいいなぁ、
そしてみんなの「応援」が、ケインの生きる「勇気」になったらいいなぁと願っています。

ケインママより